大阪住之江区の平林会木材協組(湯川昌子理事長)は平林会(理事長・小林健次郎氏)・大阪府木連(会長・津田潮氏)にも声をかけて3月8日(土)、恒例の視察研修会を実施した。視察先は近江方面、総ケヤキづくりの蔵元・藤居本家と建築家のヴォーリーズが設計した旧豊郷小学校校舎群がメイン、いずれも登録有形文化財に指定されている。当日は、湯川昌子・山川浩之・島津浩之・高好章二・白井昌子・井上京子・井上恵司・村上顯・小林健次郎・三宅英隆・三宅道代・谷正一・谷千津子・石岡敏雄・石岡久美・川邊博史・児玉鈴鹿・島崎公一・島崎博子の19氏に加えて来賓でヴォーリーズ研究の泰斗山形政昭大阪芸大教授が参加して研修会を盛り上げた。
長雨も峠を過ぎた8日朝9時、難波近鉄ビル前をバスは出発して一路近江に向かった。車内では湯川理事長の挨拶や参加者紹介があり、渋滞もなく定刻に最初の目的地「蔵元・藤居本家」に到着した。
早速酒蔵見学と相成ったのだが案内役は蔵元のオーナー藤居鐡也氏(昭和22年生)。「案内役が私の使命です」と語り、懇切丁寧、微に入り細を穿つ説明で一行は一瞬にして日本酒のファンになったようだ。酵母菌と麹菌が生み出す日本酒は世界一のお酒だ。大正時代に建てられたという酒蔵は「総ケヤキづくり」の素晴らしさはもちろんのこと、桧や松の銘木類が異彩を放っていた。今では集材が不可能に近い逸材揃い。
酒蔵内のレストランは格別の趣がある。ワイングラスに注いだ日本酒で乾杯、ランチタイムに移った。限定品の日本酒をお土産に買い込んだ一行は次の目的地に向かった。
「旧豊郷小学校校舎群」といえば取り壊し問題で世間を騒がしたのは記憶に新しい。スクラップ&ビルドが大好きな日本人はいとも簡単に歴史的建造物を破壊する。耐震補修より壊す方が安上がりだという思想と経済を廻すという功利主義が数多くの日本の文化財を逸失させている。滋賀県民の英断にエールを送りたい。
同校舎群は同郷の先人古川鉄次郎氏(丸紅の専務)が私財の2/3(当時の60万円・現在の数十億円)を寄贈して昭和12年に建設された。設計はヴォーリーズ、施工は竹中工務店。写真でも分かるように「白亜の教育施設」、小学校の校舎とはとても思えない。ガイドさんの案内に加えて山形先生の深みのある説明が見学時間をオーバーさせたのは言うまでもない。教会を彷彿とさせる講堂や長~い廊下、窓のデザインは現在主流のアルミサッシとは雲泥の差だ。「アニメの聖地」と称されるだけのことはある。
最後の視察先は明治13年に建てられた「伊藤忠兵衛記念館」。館内で総合商社の雄「伊藤忠商事」の始祖で近江商人の鏡と称される伊藤忠兵衛と八重夫人の当時の暮らしぶりを勉強する。「三方良し」が息づいていた。
全ての行程を終えた一行はご婦人方が楽しみにしているバウムクーヘンで有名な「ラ・コリーナ近江八幡」に向かう。「ラ・コリーナ」は大混雑で会計待ちが長蛇の列。おっさんには理解しがたい盛況ぶりだった。それでも皆さん、たくさんのお土産を買い込んだようだ。
定刻を少し遅れて近江を発った一行は一路大阪へ。道中、車内では村上顯氏寄贈の日本酒(村上木材が経営する熊野の尾崎酒造製)と湯川理事長差し入れの「ラ・コリーナの御菓子」が当たるビンゴゲームで大いに盛り上がり、6時過ぎ、難波に帰着した。



